小生のクリニックに関する情報は、2014年1月3日にこのHome Pageに初めて投稿させて頂いた『「膵負荷状態」の話』の中の膵臓に関する小生のHome Pageの中(最後のページ)に掲載されております。初投稿の際にはリンクが出来ない状態でしたが、カオルさんのご提案で、その後、リンク可能とさせて頂きました。
このHome Pageに投稿を続けている『「膵負荷状態」の話』のシリーズは、膵炎で悩む方々は勿論のこと、お腹(膵臓)のことを良く理解されていない為に様々な不具合を生じている可能性のある方たちに対しても、お腹への理解を深めて頂く為に書き続けて参りました。個々のケースに対して述べることは、その方を診て下さっておられる先生方に対して失礼に当たりますので、客観的・総論的な内容に留めて来たつもりです。
小生が述べている「膵臓」は、多数の膵炎患者を診ておられる専門医の先生方とは次元が異なります。超音波検査を日常こなしている一開業医の積み重ねから得られたものですから、第三者(医者)からの評価は全くと良いほど得られておりません。しかし、小生のところに来られ、お腹(膵臓)と上手に付き合うことが出来るようになった方たちの多くは、再び元の元気・自信を取り戻しておられる筈です。
一方、小生が伝えるお腹(膵臓)の解釈を最初から受け入れられない方たちも多数おられる筈です(開業医の“突飛な話”など耳を傾けないのは当然でしょう)。しかし、これらの方たちに対しても、膵臓への認識を改めてもらう為に、少しずつではありますが“努力”を続けて参りました(このHome Pageへの投稿もその一端と言えます)。
良い機会ですから、小生が接している「膵負荷状態」にあると思われる患者さんに対しての対応を述べさせて頂きます。
血液検査で「膵負荷状態」を見つけ出すのは一般的に困難ですので、いきなり血液検査は実施せず、最初は超音波検査と尿アミラーゼ検査の結果から診断をしております。これらの結果から膵負荷の程度・消化能力の強弱・食事量等をおおよそ推定することが可能で、状況によっては経過を追って“軌道修正”を図ります。超音波検査は食事に関係なくいつでも実施しており、病状が安定した段階で血液検査(空腹時採血)での確認が行われます。血液検査を実施する目的は、その方の消化能力の強さ(弱さ)の把握・適正な食事か否か(消化不良状態にあるか否か)の判断・身体の中の反応(炎症やアレルギー等、不具合を生じる根本的な反応)の有無とその強さの確認・肝臓や全身への影響の有無・糖尿病状態の把握等ですが、膵負荷症状が強い方は、最初から血液検査を実施する場合もあります。
炎症の有無の確認は非常に重要で、本人が気付かない間に炎症が繰り返され、膵臓以外の部分(弱い部分や負荷が加わりやすい部分)に徐々に明らかな病気を生むことにつながることも考えられます(糖尿病における「合併症」はこの典型例です)。
一方、消化不良状態の把握は、今の食事内容がうまく活かされているか否かを判断することで、栄養不良状態の回復・病状の安定化、小児では成長にも関係して参ります。
強い膵負荷による症状に悩んでおられる方たちに対しては、内服薬が膵臓を刺激することも多く、お腹の十分な安静を図った上で膵炎治療薬を加えた輸液を実施致しますが、症状が軽減してもすぐには安心せず、“お腹(膵臓)の安静”を徹底することが重要です。
膵臓が落ち着いた状況にあるか否かの判断に際しても尿アミラーゼ値の変化は有用と考えます(自覚症状が改善され血液検査で膵消化酵素値が“正常値”であっても、更に“お腹の安静”を続ける必要があります)。
膵臓の働きが根本的に弱い方か否か・弱った状況にあるか否か・働きが弱くなるのはどのような時か・膵臓の働きを増すのにはどのようにしたら良いのか等、ご自分の身体に当てはめて把握しておくことも重要でしょう(小生のHome Pageに細かく書いてあります)。そして、「膵負荷状態」になったと推定された場合、早めに対応し(身体・お腹・心を十分休める)、それでも解消しない場合には薬の処方や一時的な膵炎治療薬の点滴等を実施して頂ける医師を訪れることになります(そのような先生が身近にいらっしゃれば非常に安心です)。但し、薬は漫然と使用せず、普段から膵臓を意識した安静に努めることが基本と言えます。そして、おかしくなりそうな時、お腹の安静を守りながら消化剤の服用で弱った膵臓の働きを補い、炎症に伴う症状が出始めた場合には膵炎治療薬も一時的に併用することが効果的です。
膵臓は「ちょうどよく食べているか否か」を常に監視しています。身体の中心に存在し、様々な情報を集め、不利益をもたらす情報が確認されると“注意信号”を発します。黄色の信号が赤信号に変わらないようにいつも見つめている筈です(母親のように)。
辛い時期を乗り越えると膵臓は“ご褒美”を与えてくれます。それが、長年続く“若さ”と“健康”・“自信”かもしれません。
皆さんの個々の“努力”を期待いたします。